カネマツコラム(第9回)
カネマツコラム長年福祉に携わってきた金松敏信先生の”ふとした気づき”をお届けしています♪
第9回 施設の生活空間に思う
私の友人で、自宅のレイアウトを定期的に替える方がいます。
家具の位置を変えたり、壁の絵画などを移動したり、別の絵にしたりしています。
施設でも季節感を出すための行事や装飾をして、利用者に日本の四季を感じて頂いており良い事だと思います。
私が施設に入職した頃は、装飾をとても大事にしていました。
窓をステンドグラス風にしたり、天井に絵を貼ったり、風鈴を下げたりと季節毎に工夫をこらしていました。
初釜や春と秋には野立てをしておりました。重度の発達障害の方は、慎重な面持ちでお茶を頂きます。
場の設定と経験を積む事で多くの事を学習するのです。
学習とは経験です。人的、物的環境は、人間の心身の成長に大きな影響を与えます。
玄関の生け花が施設訪問の度に変わって、来客を迎えてくれます。
また、利用者の絵画や刺繍品を展示している施設もあり、訪問する度に施設の暖かさを感じます。
介護保険が始まってから、装飾はレセプトの対象外になっていると思いますが、装飾は施設の文化レベルの指標になると思うのです。
ススキやコスモスの束をどかっと挿したり、梅の枝を大きな瓶にいけているのを見ると、嬉しくなります。
施設は職員の職場であると同時に、利用者の生活の場です。
職員の暖かい言葉掛けや仕草と同様に生活の場をどのようにするかも
ケアの一部であると意識すると、福祉の仕事は果てしなく楽しくなり夢が広がります。
職員は、スケジュールに管理されて、次々に業務をこなさなければなりません。
しかし、車のハンドルのように遊び(余裕・ゆとり)が人生を豊かにすると思うのです。
~紹介~
金松敏信
障害児者施設で指導員として30年勤務した後、2015年まで長崎女子短期大学教授として学生を指導。
現在、長崎介護実践研究所代表として福祉に関わる人々を支える活動を行っている。
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投稿日時|2024年7月30日15時59分