福祉への意識の芽生え―サマーボランティア・キャンペーン2025 <拡充版>

スポットライト

「サマーボランティア・キャンペーン」(以下、サマボラ)は、ボランティア経験のない学生や一般の方などに、県内各地のボランティア活動を紹介し、ボランティアを体験してもらう事業です。
と同時に、ながさきのふくし2025年6月号で紹介した『地域共生共育プログラム(ともともPG)』の狙いである「地域福祉を支える未来の人材育成の種まき」のツールでもあります。
2026年3月号では、2025年のサマボラでの「種まき」と「芽生え」を、長与町社協の取り組みを通してご紹介しています。

「福祉に興味はなかったんです」

そう語るのは、20歳の大学生 宇戸さん。
2025年のサマボラで長与町社会福祉協議会(以下、長与町社協)のプログラム「夏勉」に
ボランティアとして参加したのは、友人の誘いがきっかけでした。

<夏勉>
小・中学生を対象に、夏休みに自主学習やレクリエーションの場を提供する赤い羽根共同募金助成事業。
2025年は、ボランティアは3人、8日間の開催で延べ132人の子どもたちが利用。

そんな彼に福祉の体験を尋ねると、

小学生の時、車椅子とアイマスクの体験で“不自由さ”を学んだのを覚えています。高校では1年間週1回、介護系の授業があり、技術の難しさと同時に介護が必要な方にはなくてはならない仕事だと感じました。でも正直、福祉や介護を将来の仕事と考えることはなかったです


とのこと。
ただ、夏勉のボランティアで子どもたちと接することは、小学生の陸上のコーチをしていることもあり、戸惑いはなかったそう。
長与町は小学校でも学年をまたいだ縦のつながりが強く、子どもたち同士はもちろん、親同士もつながりがあるとのことで、それも戸惑いがなかった要因かもしれません。

夏勉ボランティア 宇戸さん

「夏勉」事業の取り組み

夏勉は、単に勉強をする場ではなく、普段とは異なる環境の中で、違う学校・学年の子が交流しながら、自分がどう勉強し、どう人と付き合うかの体験の場でもあります。
2025年は、年齢が近いボランティアの学生に関わってもらうことでさらに体験が広がりました。

   長与町社協 高尾さん

宇戸さんを夏勉に誘った友人のお母さんでもあります。


夏勉に参加するまでは言えなかった「ごめんね」を言えるようになった子どもの姿に親が驚いた、ということもありました。
中にはちょっと気になる子もいます。この事業を担当する地域福祉課だけでなく生活福祉や生活支援など他課の職員も夏勉に関わり、そこで見えてきたものを学校などの関係機関と共有することにしています

他課の職員も勉強の場に顔を出し、子どもたちに話しかける(写真は2025年12月「冬勉」の様子)

子どもの変化が自分の自信に

宇戸さんは、なかなか学習に集中できない子どもに対して、どうやったらその子が興味を持つかを考え、「これをやりなさい」ではなく「これとこれとこれ、どれをやろうか?」と選択肢を示すことを試してみました。
その試みが功を奏し、少しずつ学習への取り組み方が変わっていき、長与町独自の学習検定「ながよ検定」に一発で合格。子どもと親御さんから直接合格の連絡がきたときは本当に嬉しかったそう。

宇戸さん
“子どもが変わっていく”という体験は僕の自信になりました。
コーチをしている陸上にも活かせていて、難しい子との接し方を工夫できたり、
トレーニング方法を『この方法ならここが伸びる、この方法ならここに役立つ』
と複数示して本人に選ばせることで実際に効果が出てきた子もいます。
夏勉での体験が僕自身の成長につながったと思います

地域で子どもと関わっていく

宇戸さんは、冬休みに行われた「冬勉」にもボランティアとして継続して参加しました。

宇戸さん
夏勉の場はあったかい。
ずっと参加している子、遅刻してでも参加する子もいます。
だから次の世代にも“自分もボランティアしたい”と繋がっていくんじゃないかな。

僕たちの世代がしっかりしないと子どもたちの未来を支えることはできない、と強く感じます。
この長与の地で子どもと関わっていく仕事に興味が湧いてきています

種をまき続けよう

今回ご紹介したのは、たくさんの種まきの中の一つの小さな芽生えの例です。
サマボラは、前述のとおり、ながさきのふくし2025年6月号で紹介した福祉教育プログラム『地域共生共育プログラム(ともともPG)』の狙いである「地域福祉を支える未来の人材育成の種まき」のツールでもあります。

地域福祉を支える未来の人材の芽生えのために、より多くの地域にいろんな種をまく。

そのためにも、福祉施設・事業所の皆さんには2026年の種まき=サマボラの受け入れにぜひ取り組んでいただきたいと思います。

投稿日時|2026年3月2日9時00分