カネマツコラム(第8回)

カネマツコラム

広報誌での連載が「ながさきのふくしTimeLine」にお引越ししました!
長年福祉に携わってきた金松敏信先生の”ふとした気づき”をお届けしています♪

第8回 傾聴のコツ

長崎県内でも、「傾聴ボランティア」グループがあり、施設や病院で活躍されています。
また、「傾聴」に関する図書も数多く出版されていますので、福祉関係者はすでに存じていると思いますが、在宅訪問や施設ケアでは、傾聴力が弱いために意思疎通が不十分でトラブルになることもあります。

傾聴は利用者の尊厳と深く関わりますので、傾聴について考えましょう。
職場や家庭内でも相手の話をしっかり受け止めることが出来なくて、ギスギスなったりするように、相手の話を聴くことは難しいのです。
ですから、鬱や認知症や知的障害の方などの話しを聴く時は、真剣に相手の気持ちや障害や疾患を持ちながら生きることの辛さや悲しさなど心の奥にある本当の問題などを受け止めながら全身で聴かなければなりません。

毎月3回から4回ほど、私に電話を掛ける方がいます。40分程、ひたすら相手の話を聴きます。
否定語は使いません。また、相手が求めないのに、相談センターや福祉事業所の紹介はしません。
「家の中はゴミ屋敷です」「ヘルパーさんがお願いしていないことをします」などと、困っていることを話されます。


私は、非審判的態度を貫き、「そうなんですか」などと共感し、気持ちをはき出すことができるようにします。真実か作話か疑いたくなることもあるのですが、あくまで相手の言葉をそのまま受け止めます。
何度か話す内に本人の話の裏にある「物語」を見いだします。色々な人の傾聴を通して、私自身の福祉観や福祉的支援が必要な人とのコミュニケーション力が強化されていると感じます。また、傾聴では、待つことや沈黙が大切だと実践の中から学んでいます。

~紹介~

金松敏信
障害児者施設で指導員として30年勤務した後、2015年まで長崎女子短期大学教授として学生を指導。
現在、長崎介護実践研究所代表として福祉に関わる人々を支える活動を行っている。


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投稿日時|2024年5月28日14時20分