福祉施設・事業所が学びの場になる あらたな福祉教育プログラム「ともともPG」<拡充版>

スポットライト
長崎県社協では、福祉教育(=学習)とボランティアなどの社会貢献活動(=実践)に一体的に取り組むサービスラーニングの手法を用い「地域共生共育プログラム(ともともPG)」を提案。
学校、社協、地域、家庭、そして施設・団体等が協働することでこのプログラムを県下で広く浸透させ、“共に生きる”意識を育むことを目指しています。

これまでの取り組みと課題

これまでも、社協では、福祉課題を身近な問題としてとらえ、思いやりの心を育むために福祉教育を実施してきました。
その主流は、障害者や高齢者の困り事を疑似体験するもので、わずかの疑似体験であたかも障害者や高齢者を理解したかのように考えてしまったり、かわいそうな人・大変な人ととらえてしまったり、いわゆる「貧困的な福祉観の再生産」に終わってしまっているのではないか、と指摘されていました。

施設×ともともPG、地域×ともともPG
=“実践”の場

ともともPGでは、学校で“学習”した先の“実践”の場として、施設・団体等や地域でのボランティア活動を考えています。
そこには、ともともPGを小・中・高校生やその家族が“福祉”に接する機会とし、「地域福祉を支える未来の人材育成の種まき」にするという狙いがあります。機会をつくるツールとして、サマーボランティア・キャンペーン(以下、サマボラ)とのコラボレーションに取り組んでいます。

新上五島町社協ボランティアワークキャンプの様子

新上五島町社協が実施したボランティアワークキャンプで、子どもたちは1日目に災害ボランティアや災害ボランティアセンターについて学び、2日目の災害ボランティアセンター設置運営訓練では大人たちに交じって“運営者” を体験しました。


昨年サマボラ受入施設・団体等の募集を行った際に「福祉教育との連携」への意向を尋ね、7割の施設・団体が「連携に協力できる」と回答していました。(図1)
サマボラ終了後のアンケートからは、“実践”の場である施設・団体等でのボランティア受け入れに繋げていくヒントも感じられます。

サマボラ終了後アンケートから抜粋

【施設・事業所の声】

  • 施設職員の仕事に関するアンケートをもとにした授業を受けたことで興味を持ち、ボランティアに参加してくれた学生がいました。
  • 利用者も喜んでおり、私達職員もボランティアさんの一生懸命さに支援についてあらためて気付かされることもありました。
  • ボランティアが特別なことではなく、自分ができることを誰かのためにするという気持ちが芽生えるといいなと思いました。ボランティアを通して様々な人とのつながりも感じられる機会になると思います。
  • “施設紹介文でボランティア内容を読んでこの施設を選んだ”という参加者が。紹介文の大切さを感じました。

【参加者の声】

  • (職員の方の)一つ一つの動きに意味があって見ているだけでも勉強することが多かったです。将来看護師を目指している中でこのような体験ができたのは私にとってとても大きな経験でした。
  • 子どもと触れ合える機会があって、保育士の仕事を間近で見て、将来の夢を考えるための機会になりました。とてもよかったです。
  • 主催される方の地元への熱い想いや、これからのことをよく考え行動に移しておられることが勉強になりました。
  • 息子も一緒に参加しましたが、祖父くらいの年齢の方の話を聞いたり、社会勉強になったと思います。

【社協の声】

  • 中学校から、「学校の地域貢献活動の一環として、生徒が参加できるボランティアはないか」と相談があり参加につながりました。学校の課外活動のほか、学童などの施設単位で、夏休みの課外体験や調べ学習のきっかけとして活用してもらう方法もあるのでは?
  • 参加して貴重な経験ができたと再度同じ場所を追加で活動される方がいらっしゃいました。
  • またサマボラ期間後も活動したいという気持ちが芽生えたボランティアもいて町内のつながりができました。

未来の人材育成の種をまいていくために

ともともPGが目指すのは、“共に生きる” 意識を育むこと。
そのためには、ボランティア活動をはじめとした社会貢献活動に参加しやすい環境を整備していくことが必要で、福祉施設・事業所、市町社協、民間企業等の力が不可欠です。

令和7年度は、ともともPGを地域で実践できる人材を養成する「地域共生共育(ともとも)推進研修会」をあらたに開催予定です。社協職員だけでなく、福祉施設関係者や行政職員、学校関係者、ボランティア、地域住民など多くの方に受講を呼びかけ、ともともPGに関わっていただく人材を増やしたいと考えています。
未来の人材育成の種まき、ぜひ共に取り組んでください。

 長崎県社会福祉協議会 地域福祉推進課
 TEL:095-846-8618

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投稿日時|2025年5月30日17時11分