わが法人(施設)自慢の福利厚生メニュー

広報誌

第1回 社会福祉法人 山陰会

誌面で紹介した「法人内ソーシャルワーカーが相談に乗る”よろず相談所”」を行っている社会福祉法人山陰会は、児童福祉・障害福祉を中心に島原半島で30施設を運営。その取り組みを同法人普賢学園の本田施設長にうかがいました。

同法人が福利厚生の充実に取り組み始めたのは2019年から。

長崎県が『Nぴか』(長崎県誰もが働きやすい職場づくり実践企業認証制度)を創設し、認証に向けたサポートをスタートしたのがきっかけです。
すべての事業所で一度にスタートするのではなく、スモールスタートで、トライ&エラーを繰り返しながら進めていて、現在4事業所で進んできており、この4事業所で法人の全職員の4割を占めています。

普賢学園 本田施設長

職員のメンタルヘルスを考える

普賢学園は、障害者の入所施設。重度の障害のある利用者も多く、職員のメンタルへの影響が大きい職場です。
そこで、仕事・家庭の悩みも迅速に対応する【相談】のメニューがあります。

 ・普賢学園よろず相談所
 ・24時間電話健康相談(外部委託)
 ・介護相談ホットライン(外部委託)
 ・メンタルケアカウンセリング(専門カウンセラーに相談可)
 ・年2回のキャリアパス面談
 ・月イチ面談

普賢学園よろず相談所(どころ)は、法人内ソーシャルワーカーが相談に乗るというもの。

内容は何でもOK。相談内容は、緊急性がない限り相談者とソーシャルワーカー間でだけ共有することにして、相談しやすい環境をつくっています。

令和6年度からスタートした月イチ面談は、7人ほどのチームそれぞれの中で2名のチームリーダーが面談を行うもので、このコミュニケーションで、考えのずれや日常業務の中でのずれを予防できているとのこと。

チームリーダーの月イチ面談は、私か事務長が行っています。
工夫しているのは、必ず複数でサポートするということ。
個人に依存する組織は脆いと思っていて、『チームで面談』で見えてくるものを重ねていくことが大事だと考えています。

健康づくりのための積極的な活動や独自の工夫が評価され、今年1月には長崎県ヘルシーアワードを受賞。
ヘルシーアワードについては ▶こちら

キャリアパスを考える

「チャンスはみんなに」という考えで、様々な制度を設けています。

 ・独自の人事考課・成長応援システム「Y-ZAP」
 ・資格取得応援制度
 ・資格取得シフト優遇制度
 ・福祉図書館
 ・キャリア構築制度
 ・キャリアトレーニング制度

独自の人事考課・成長応援システム「Y-ZAP」は、山陰会の理念である「自由の道」、「お陰様の道」、「すべての人に愛を」をかたちにしたもの。
「自由で柔軟な発想で福祉課題にチャレンジし、日々感謝の気持ちを持って、自分と他者へ愛を持って人生を豊かに生きていこう。」という意味が込められています。

ご利用者と共に行う活動も豊富

“人事考課”という言葉のネガティブイメージを取るために、パーソナルトレーニングで有名なRイザップをひねった名称をつけたとのことで、「職員の成長を施設も共にサポートし成長していこうという理念が、Rイザップさんに通じると思いまして(笑)」と本田施設長。

Y-ZAPは役割等級制度になっており、各等級には役割と理念に基づいた目指して欲しい姿が5段階12項目で示されています。
まずトレイニー(対象者)が年に2回、セルフチェックを行い、面談などを通じて上位者やリーダーであるトレーナー(上位者)が一緒に課題やゴールに対してやるべきことを共有し、日々意識をしながら業務に取り組んでいきます。
前述の「月イチ面談」とは別に「フィードバック面談(年2回)」もあり、ここでは施設長からY-ZAPの内容を通じてアドバイスや情報共有をしています。

職員が日々の業務を通じて勤トレ(勤務力トレーニング)を行い、自らの力を伸ばしていく。
もちろん、日々の業務で課題にぶつかることもあります。そんなときは筋トレ用語である「No Pain No Gain)」(「痛みなくして、得るものなし」英語のことわざ)でお互いを励ましながら乗り越えていける風土を作っていくこともY-ZAPの狙いです。

福祉の仕事は毎日が挑戦であり、チャレンジの連続です。失敗を恐れていては、自分自身の成長やご利用者の自立にはつながっていきません。チャレンジする風土、チャレンジする人を応援するチーム、チャレンジした人が評価される組織を目指しています。

また、直接仕事に関すること以外でも「地域へのボランティア活動」など理念に基づいた活動をしている職員には+αで評価もしています。

最も「勤トレ」に励まれ、自分の能力を伸ばされた職員さんは「Y-ZAP勤トレ賞」として島原のミシュラン星付きレストラン「pesceco」にペアでの食事へ招待し、自分を応援してくれるパートナーと美味しい料理と美しい風景で心のタンパク源を補充していただいています。

資格取得支援制度は、資格取得のためにかかる費用を一時金として法人が負担。資格取得後には資格手当が支給され、そこから法人へ返済をしていく仕組みです。
資格取得シフト優遇制度は、資格取得時の現場実習期間を有給休暇や公休をうまくシフトに組み込んで、職員の負担を減らすもので、この制度を使って『2週間×2回』で現場実習にあてた職員も。

資格取得時にシフトを優遇する制度がある」ということを全員に周知しているので、周りからはルールに則っているとの理解が得られ、休みやすい=資格取得に取り組みやすい環境ができてきています。

福祉図書館は、職員からリクエストのあった書籍を買いそろえて施設内で誰でも読むことができるようにしているものです。法人内での貸し出しもしているそう。

先日もリクエストがあり1冊4,000円・11冊セットの医療関係の書籍を購入しました。
個人で買いそろえるには躊躇する額ですが、職員の学ぶ意欲を伸ばしたいと思い購入したところ、読みやすくしっかり役立つものでした。
健康に関する食品選びに関する書籍も増やしており、職員が楽しみながら学んでくれたら。

家庭と仕事の両立を考える

・幸せ一時金制度
・永年勤続表彰
・結婚・出産・育児・介護等による退職者への再雇用支援制度

幸せ一時金制度は、結婚から出産、入学(小中高)まで最大57万円を支給するもの。
永年勤続表彰では、5年・10年・15年の節目の表彰で、最大15万円の旅行券をプレゼント。

これらは、職員にがんばってくれたねという感謝はもちろん、家族やパートナーのサポートのおかげ、ということを形にしたものです。
みんなでお祝いをして、家族のようなチームにしたいと考えているんです。

これらのメニューをうかがうと、その原資が気になります。
「扶養手当を3年間で廃止をしました。ほとんどが共働きで該当がなくなってきていたので、使い方を変えた、ということです」(本田施設長)

すべては「支援の質の向上」のために

これらの福利厚生メニューは、職員の働きやすさが支援の質の向上につながる、という理念からつくられたもの。
また、いま働いている職員の満足度だけでなく、求職者への訴求効果も高く、若い世代や子育て世代の方に好評で、新卒、中途採用、専門職(看護師等)の採用が好調とのこと。
社会福祉法人山陰会では、今後休日日数を120~125日に目指して、令和7年度からチャレンジしていくそうです。
これからも社会福祉法人山陰会の工夫とチャレンジが続きます。

社会福祉法人山陰会のウェブサイトは ▶こちら

普賢学園のInstagramはこちら ▶

●今後も、特徴的な福利厚生メニューを活用している法人を紹介していきます。

投稿日時|2025年3月3日9時13分